研究紹介
小児科学系 小児科学分野の診療班の業績をご紹介
研究
血液・腫瘍班
血液班では1例1例の症例を詳細に検討するタイプの症例研究に重点を置いています。最近ではモノソミー7の原因となる遺伝子変異の症例を見出しました。また、小児がんの治療後の晩期合併症の中でも特に妊孕性や心機能の臨床研究を進めています。『腫瘍循環器センター』を開設し、従来より行われている心機能評価指標に加え、最先端の3次元心エコー法を用いた左室心筋の歪み(左室ストレイン)計測検査をがん治療後すべてのサバイバーに拡大しています。さらに東京女子医科大学輸血・細胞プロセシング科と協力し、溶血性疾患の基礎的研究にも着手しています。グループのメンバーは常に2つから3つのテーマを持って、価値の高い診療を展開しています。
腎臓班
新しい治療法確立のための医師主導多施設共同臨床研究に参加しています。現在、頻回再発型ネフローゼ症候群に対する治療と、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対する治療についての治験の患者登録を行っています。①頻回再発型ネフローゼ症候群に対するリツ キシマブの再発抑制効果 ②ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対するステロイドパルス併用リツキシマブ投与による蛋白尿改善効果
アレルギー班
食物アレルギーは、湿疹を介した経皮感作が発症の契機となっている事が近年明らかになってきました。一方で、一定の割合で湿疹がなくても食物アレルギーを発症する人たちがいます。その人たちの臨床像を探求する事で、将来の発症予防につなげるために、研究をすすめています。
循環器班
日本大学小児科循環器班スタッフが執筆に参画し、ガイドラインが発行されています。 学校心臓検診2次検診対象者抽出のガイドライン-1次検診の心電図所見から-(日本小児循環器学会)、学校管理下AEDの管理運用に関するガイドライン(日本小児循環器学会)。川崎病診断の手引き改訂第6版(日本川崎病学会日本小児科学会雑誌)、川崎病急性期治療のガイドライン(日本小児循環器学会)、川崎病心血管後遺症の診断治療に関するガイドライン(日本循環器学会)。川崎病の急性期治療の有効性に関する多施設共同前向きコホート研究(PEACOCK)、川崎病冠動脈瘤の多施設共同レジストリ研究(KIDCAR)に参加しています。
内分泌・糖尿病班
低身長ではSGA性低 身長やTurner症候群、 Prader-Willi症候群に加えて、Noonan症候群も 新たに成長ホルモン治療の適応になりました。各種低身長症の遺伝子診断から適切な治療と管理を行います。糖尿病ではポンプ治療をはじめとして持続皮下ブドウ糖濃度測定(CGM、FGM)や低血糖前一時停止機能などの先進治療を専門医が行います。また2型糖尿病、メタボリックシンドロームおよび単一遺伝子糖尿病であるMODYの診断と治療も行っています。
新生児班
2020年2月から先天性サイトメガロウイルス感染症に対し、医師主導型治験を行っています。新生児黄疸、母子感染症(特に先天性サイトメガロウイルス感染症、先天性トキソプラズマ症)、Small-for-gestational-age児の成長・発達を中心テーマとして多くの基礎研究、臨床研究を行っています。
代謝班
全国でも数少ない乳児期から成人期まで診療が可能な先天代謝異常症専門の外来をもち、診断と治療および遺伝相談を行っています。フェニルケトン尿症のガイドライン作成、先天代謝異常症乳幼児のRSウイルス感染重篤化を防ぐパリビズマブ適応拡大のための医師主導型治験、成人フェニルケトン尿症に対する新薬の治験、ミトコンドリア異常症に対する新規治療の研究、フェニルケトン尿症の遺伝子型と表現型の関連の研究やメープルシロップ尿症に対する再生医療の研究などを行っています。こども救命・救急班小児の誤嚥の原因と年齢別集計を行い、年齢別の家庭指導へとつながる論文を発表しています。
神経班
小児の心身症の代表である起立性調節障害(OD)の診断に関しては、 連続血圧計を用いた起立試験を行っております。これによりODのサブタイプを分類することができ、より明確に治療方針を立てることが可能になります。患者さん・保護者の方に、リアルタイムでパラメータ変化を見ていただくことが、疾病教育にも有効であると考えています。
こども救命・救急班
小児の誤嚥に関する年齢別の原因を追跡調査し、分析しました。それにより、年齢別の生活指導につながる論文を発表しています。
感染症班
B型肝炎ワクチンに対する抗体保有についての調査を行っています。